『100の恋、100のワイン』 第8話
すみれの花言葉は「小さな幸せ」
このまちにもしあわせがない
みわこはそういう
まだゆきののこる、ほっかいどうをでてふたつき
ぼくらは、とうきょうにやってきた
たまがわのかせんじきを、ふたり、てをつないであるきながら
みわこは、はるのはなをながめまわす
しあわせはどこにあるんだろう?
そうたずねるぼく
みわこはぼくのてをほんのすこしだけつよくにぎりかえす
ここ
ここ?
そう、みわことゆうさんのつないだ、てとてのあいだ
そこにしあわせがあるの
みわこはわらってはなす
それなら、このまちじゃなくてもいいじゃないか、すむのは
ぼくはまえからきたじてんしゃをよけて、みわこにはなしかける
うん、そうかもね
でも、とうきょうにきたかったんだろ?
ちがうの
そういって、みわこがてをはなす
ほっかいどうは、おはながみんないっぺんにさくでしょ?
はるも、なつも、あきも、ふゆも、まるでかんけいなく
それはさびしいのだと、みわこはいう
あのさびしさがにがてなんだと、みわこはいう
じゃ、このまちがさびしいのはいいの?
あせばみはじめたみわこのてを、もういちどにぎる
うん、ゆうさん、いるから
このまちにしあわせはないけど、ゆうさんいるから
ぼくのむねは、いいようのない、あたたかいきもちでいっぱいになる
みわこ
うん?
いや、なんでもないよ
みわこはわらってかけだす
そしてとうとつにしゃがみこむ、ぼくはあわててかけよる
どうしたの?
おはな、さいてるよ
すみれ?
ちがうよ、これはね、ヴィオラ |